僕はこどもの頃から物思いに耽るのが好きだった。それも父親の影響である所が大きい。父親は私との対話の中でよく似て非なる言葉や対極の言葉を投げかけてきた。
それが思考力を鍛えるよいきっかけになったと思う。
小学生のときは、よく「男は強さと優しさだ」男はまず強くなければならない。ただ強いだけでもだめで、優しくなければならない。
この言葉は、小学生の時耳にタコができるくらい聞かされた。何かに付けて、「おい!男はなんだ?」と聞かれるのである。
対極の言葉としては「文武両道」だった。小学生の時は算数とサッカーを頑張ることを約束していた。中学生は、足を怪我して武はお休みしたが、高校は、教育方針が「文武両道」の学校に入るほどだった。
その他、こんな言葉を投げかけられた
「真剣になっても深刻になるな」
「権力ではなく、権威ある人になれ」
「厳しい眼差しと溢れる愛情」
「努力したかどうかは他人が決める。成長したかどうかは自分が一番良くわかる」
田坂広志氏の著書「深く考える力」では、新たなアイデアや考えを生み出してく技法の一つとして、「対極の言葉を結びつける」ことを紹介している。P29
「未来の記憶」
「無用の用」
「無計画の計画」
「逆境という幸運」
「病という福音」等
そして、対極の言葉を結びつけることは、ヘーゲルの弁証法、つまり「正反合」のプロセスによる「止揚」のことでもあると。
こどもに思考力を付けさせたいと思う親は多いと思う。
似て非なる言葉、対極の言葉を投げかけることで、こどもに考えるきっかけを与えることは、大切なことではないかと思う。