カラオケの採点で、「GLAY」を歌っても、常に80点台だ。
ただ、僕のGLAYを聴いて泣いてくれた人が数人いる。
つまり、僕のGLAYは、「下手ウマ」なのかもしれない。
千葉雅也さんの「現代思想入門」「勉強の哲学」に引き続き、「センスの哲学」を読んだ。
これまたとても面白く、刺激を受けた。
「センス」という言葉をいろいろな角度から説明して定義していく。
しかも、最初から確定的に定義せず、まずはこう考えてみましょう。という大きい枠から徐々に「センス」の核心に迫っていく。
センスを磨くための姿勢として、
再現思考をやめる。
「上手い」から「下手ウマ」を目指すということが書かれていて、なるほど!と思った。
6章にこんな一節がある。
・最大の開放状態としてただの偶然を置いた上で、いくらかの反復と差異を作っていく。
デッサンの例がとてもわかりやすい。
デッサンは、無駄な線をいっぱい描きながら、そこから形を浮き上がらせるアプローチをする。
この本の、「センス」の定義の仕方もまさに、デッサンのようだった。いろんな角度の様々な線を重ねていきながら、「センス」とは何かを最終的に浮かび上がらせていく。
Xでまとめたものをつぶやいた。
千葉雅也さん、「センスの哲学」センスとは?
— 今越結大 (@imakoshiyudai) 2024年9月1日
をまとめてみた。locationNoは、Kindle版の番号。でページ番号ではないです。
1. センスとは、「直観的にわかる」ことである。
- location 145
2. センスとは、「直観的な判断力」です。
- location 178
3.…
まさにセンスを感じる本だった。
僕に企画を教えてくれた先輩は、いきなり企画書を書かなかった。Wordで10ページ以上の文を書く。物語と言ってもいい。
そのWordに書かれた内容が全て企画書に反映されるわけではない。そこから、抽出された言葉が企画書に載る。
まず、考えられる限りの物語を書いて、そこから核心を拾い出していく。
この企画書の作り方もまた、最大限の偶然性を置いた上で、反復と差異を作り出していく営みだったのだなと思う。
そして、この言葉に勇気をもらう。
・人生の途中の段階で、完全ではない技術と、偶然性とが合わさって生じるものを、自分にできるものとして信じる。
確かに、僕も文章を書くのは好きだし、哲学が好きだが、専門家ではない。専門家になりたいと寄せていこうとすると、再現思考になり、その不足するズレから「下手」になってしまうだろう。
僕の「偶然性」でいけば、40歳になって、一生独身だと思っていたが、結婚することになり、こどもが生まれ、一気に世界が変わった。
ここ数年は農業も初めて野菜と日々向き合っている。
子育てや農業と哲学や社会学を結びつけて考える事が多くなってきた。
完全ではない技術と偶然性とを結びつけた先に、僕の「センス」=「下手ウマ」の世界があるのかもしれない。
そして、君へ
君の人生は、どんなリズムを刻むだろう。
人生の意味を考えることは大切だが、意味に囚われず、
意味以前の、心から湧き上がるモノ、コトを大切にしてほしい。
そして、偶然性と向き合いつつ、君のオリジナルを追求してほしい。
この青空を、君へ