子育て×哲学×社会学「この青空を、君へ」

父から息子へつなぎたい思想

「マンガ」か「読書」か議論を乗り越える

教育や育児関係の記事で最近またこの議論をよく見る。

こどもにはマンガよりも読書(文字を読ませる)をした方がいい。

読書は漫画にくらべて「想像力を育める」と。

確かに読書は、文字から情景や主人公の姿などを想像して補完しながら読むので、一理あると思う。

ただ、その想像力を育む前に、想像はどうしてできるのか?ということも考えておく必要があると思う。

目で見たり、体験したりしたことがないモノや感情を想像することは難しい。

想像する材料が少ないままに、字ばっかり読んだところで、読書体験は乏しいものになるのではないかと思う。

僕も今でこそ本を年間に何十冊と読むようになったが、本格的に読書しだしたのは30歳にってからだ。

小説は今でもほぼ読まない。
映画を見て、原作も読みたいと手にすることはあるが、小説は本当に読まない。

大学時代はとにかくいろんなバイトをした。
経験をたくさんしようと。

そして、30歳の時、職場の上司に言われた。

「君は、経験から来る話しに深みを感じるが、広がりを感じないんだよな。本読んでるか?」

ハッとさせられた。

そして、その上司にこの一年で100冊読みます!と宣言したのが、読者への入り口だった。

自分が、経験したこと、疑問に思っていたこと、納得いかなかったことたちは、こういう表現で整理されるのか!と読書にのめり込んだことを覚えている。

本に書かれている言葉が響いたり、新しい発見を得たり、行動に駆り立てられたりするのは、想像をするための材料がある程度あったからではないかな?と思う。

何が言いたかったかというと、字を読んでさえいれば、想像力が育まれるという理解はしない方がいい。

想像するための材料をたくさん集める必要もある。

いろいろな人と話す、いろいろな場所に出かけてみる、活動に参加してみる。

自分で見たり、聞いたり、感じたりする自分の外へ向かう経験と、字を読んだり、考えたり、自分の内に向かう経験と両方の活動をもつことが何より大切だと思う。

外へ向かっていき、外のコトをまた自分の内に取り込む。

その経験が、人生をより豊かにすると思う。

そして、君へ

マンガも本もどちらもたくさんよんだらいい。
自分の外へと向かう活動と、自分の内に向かう内省と。
どちらも大切だ。

その相互運動が、成長につながると思うよ。

この青空を、君へ