子育て×哲学×社会学「この青空を、君へ」

父から息子へつなぎたい思想

香りある人生-『未来を拓く君たちへ』田坂広志著より-

恩師、田坂広志先生の著者『未来を拓く君たちへ』

田坂広志先生の著者の中で一番好きな著者だ。色々な方にプレゼントもしてきた。

それくらい私にとって大切な本だ。

いずれ、息子にも読んでもらいたい。
そして、私と同じく子育て中の親や教育者、職場で部下を預かるマネージャーなど、これから次世代を担う若者の「成長」を支える立場の方に是非読んでもらいたい一冊だ。

日々育児をする中でこどもと接していて思うこと。

いずれ社会に出たら、自分の力で人生を切り拓いて欲しい。

「自分の力で」と言っても、たった一人で切り拓くことはできない。大切な仲間を作って欲しい。その仲間とともに世の中のために貢献して欲しい。

個人としての幸福と社会の一員としての貢献を追求して欲しい。

その願いがある。

この願いは、どんなに世の中が発展し、社会が変化し、技術革新が起こっても、子を持つ親であれば変わらない想いなのではないだろうか。

冒頭で、君たちが切り拓くのは「二つの未来」だと語る。

「自身の未来」
「人類の未来」

君が、君の素晴らしい可能性を実現するということは、
そのことを通じて、人類全体が、一つの可能性を実現していくということ。

まさに、個人としての幸せの追求を通じて社会の一員としての貢献をして欲しいとの願いだ。

そして、どうすれば人生を切り拓いていく事ができるのか?

この本の副題でもある。

「志」を抱いて生きる

では、「志」とは、何か。

こう定義される。

与えられた人生において、
己のためだけでなく、
多くの人々のために、
そして、世の中のために、
大切な何かを成し遂げようとの決意。

では、なぜ我々は、「志」を抱いて生きるのか

それが本書のテーマである、5つの人生を生きるため。

「悔いのない人生」を生きるために
「満たされた人生」を生きるために
「香りある人生」を生きるために
「大いなる人生」を生きるために
「成長し続ける人生」を生きるために

というテーマで展開されていく。

各テーマ心に響くものがあるが、その中でも私の人生の中心においているのは、

「香りある人生」

という生き方。

よく、自分の葬式の時に何をもって記憶されたいかという思考実験があると思う。

私は、自分の葬式の時にこう言われたい。

「あの人からは、不思議と香りを感じたよね」

その「香り」はどこから生まれるのか。

著書を要約しながら話そう。

使命感を抱いて生きる時、香りが生まれる。

では、「使命感」とはなにか

それは、一つの自覚のこと。
自分の人生が、
多くの人々のために、
そして、世の中のために、
大切な何かを成すために与えられた。
その自覚のこと。

では、使命感はどのように生まれるのか。

自分が「恵まれた人間」であることを、知ること。

自分の周りを見渡せば、確かに自分よりも裕福な人、優秀な人、運動神経に恵まれている人はいるだろう。

ただ、世界に目を向ければ日本人であること自体、確かに恵まれた存在だと気づく。

半世紀以上戦争の無い国
世界第二位の経済力の国
最先端の科学技術の国
世界一の健康長寿の国
世界有数の高等教育の国

このような国は、日本しか当てはまらない。

世界でも恵まれた存在だと知る時、二つの感情が自然と生まれてくる。

「感謝」と「義務」

「恵まれた国」に生まれ、
「恵まれた人間」として生きることへの感謝

そして、

恵まれた境遇に生まれた人間には、
そうした境遇に生まれなかった人々に対して為すべき義務

この二つの想いが生まれてくる。

イギリスでは、この自然に生まれてくる「義務」を「ノブレス・オブリージュ」(Noblesse Oblige)という思想として語る。

「高貴な人間が自覚すべき義務」

という意味の言葉。

ただ、「義務」と言う言葉を見つめたときに、「受動的」「消極的」なイメージを持つだろう。

「受動的」で「消極的」な意味を超え、 「能動的」で「積極的」な意味へと深まっていくとき、
そこには、いかなる言葉が生まれるのか。

「使命」

「私は、そうしなければならない」
という思いが深まっていくとき、

「そうすることが、私の道である」
という思いが生まれる。

ノブレスオブリージュ

「高貴な人間が自覚すべき義務」

この言葉を反対にしてみる。

「義務を自覚する人間の気高さ」

そして、「義務」が「使命」へと深まる。

「使命を自覚する人間の気高さ」

どうだろ。「気高さ」という言葉から香りを感じないだろうか。

「使命感」こそが、「志」の原点

そして、我々の生き方は、
この「志」と「使命感」によって支えられたとき、
初めて、「香りある生き方」となる。
「香りある人生」とは、
その生き方の彼方にあるものだろう。

まだ、使命感と言えるほど、これが私の生きる道と思うほど明確なものがないのが正直なところ。

ただ、方向性として、教育業界で恩返ししたいというのは、今も昔も変わらない。

日本に生まれたということにも感謝だが、
日本人の中での自分の境遇にも感謝をしている。

自分に与えられた能力を世のために還元したい。

そう生きることで、香りある人生を送りたい。

そして、君へ。

君も恵まれた人間。

君の無限の可能性を、世のために使ってほしい。

そして、香りある人生を歩んでほしい。

この青空を、君へ

田坂広志先生の著書や風の便りを取り上げた記事

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※ただ、「使命」という言葉に関しては、こういう考え方も芽生えてきている

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